魔法戦争全話レビュー 第七話『魔剣の秘密』
第七話『魔剣の秘密』
脚本:ハラダサヤカ 演出:村山 靖 絵コンテ:田所 修 作画監督:山崎 愛
ついにOPでくるくる回っているくるみモドキの初登場だ。そして、もっとも出番のある回もこれだ。正直空気だが、この第七話もインパクトは十分だ。しょうもないバレンタインエピソードをこなして、トワイライトの精が武を持ち主と認めず、悪夢を見せるようになる。それをなんとかするというだけの話だが、魔法戦争中でも一二を争う見どころがある。六ちゃんのプリンだ。
六「やったー!わーい!わーい!やったやったー!おっきなぁ、プリンだぁ!」
綿飴のような雲の上を、六ちゃんが駆けてくる。手を広げて飛び跳ねて全身で喜びを表現している。その進む先には、巨大なプリンが揺れていた。
六「ぷりんぷりんぷりんぷりん~いっただっきまーす!」
夢中な六ちゃんは雲に開いた穴に気づかず、転落してしまう!武の魔法は予知による回避であり、このような悪夢(?)はいわば予知夢である。翌日、六ちゃんは食堂であまったプリンを真っ先にもらうために走って、階段を転げ落ちたのである。ここで失笑した視聴者は多いのではないだろうか。
しかし、考えてみてほしい。給食でプリンが余ったら食べたくならないだろうか。プリンに喜ぶ六ちゃんの可愛さもさることながら、魔法使いだろうが、外で戦争(という名のチーマーの抗争)が繰り広げられようが、そうした人間の自然な感情を誠実に描くことが、魔法戦争を名作に押し上げている。
武の夢の中でトワイライトの精を倒そうとすることになった。武本人と六ちゃんがトワイライトの精と戦う……と思いきや、まずは水着回だ。夢の海で、突如六ちゃんが水着姿になるのだ。これが武のイメージによるものかどうかは不明。
夢の月光「この堕天使の剣はいかなる剛健な盾をも貫く!」
これも予知夢なのだろうが、別に堕天使の剣は出てこない。そんなこんなでトワイライトの精と戦うのだが、勝てない。六ちゃんもそんなに役に立たずに足をひっぱる。勝負に勝てない武は、苦し紛れに情でほだす作戦にでる。
武「俺は君に名前を与えることができる。俺が君に存在価値を与える。永遠(トワ)……」
永遠は膝をつき武を見上げるのだった。なぜこれで懐柔できたのかよくわからない。武にトワイライトの所持者に相応しい実力が備わっていないという話ではなかったのだろうか。そもそも、この時点ではトワイライトのトワだ。三毛猫にミケと名付けるような、2秒で考えたような名前でいいのだろうか。
武「あの夢の中での戦いを終えて一ヶ月……」
魔法戦争の特色、モノローグ長時間ぶっとばしがここでも見られる。ここはおしゃれはカフェ。ホワイトデーのお返しを買いに来たのだ。
くるみ「永遠に一緒に……で永遠(トワ)か……素敵な名前よね。まるで結婚の誓いみたい……」
そんな意味だったとは初耳である。トワイライトのトワとしか思えない。苦し紛れに適当こいた武に対し、くるみの熱いフォローといえよう。